陰毛のお話

「前回とおなじくらいの強さでお当てしますね〜」

バチッ

「…ぃ…痛いです……強さは現状維持で」

密室で殺人事件が繰り広げられてるかのような重い空気を醸し出していた。ここは脱毛クリニック。私はVIO照射をしていた。もちろん全照射。一本たりとも侵入者を許してはいない。怪盗キッドも進入路がなくて、びっくりしているくらいの厳重警備だ。今では自分の許されていない場所に毛が生えてることが忌々しい。なぜ私に毛が生える?無くさなくてはならぬ。それが私の使命であるのだ。脱毛してると言うと稀に「美意識高いね」と発言してくる愚か者がいるが、違う。そういう問題ではないのである。VIO……それは日本人が「あそこの毛」というのを恥じらうばかりに、形に合わせてVIOと呼んであからさまにその名を出さないことに奥ゆかしさを見いだせている。室町時代からの風習なのである。ウソです。まあただ単に脱毛好きな自分に酔っている。インスタでおしゃれなバーやカフェで写真撮ってる妾とわたしは同類なのである。

 

そう頭の中で滑走路に入りながら思考を巡らせている。下半身には重い痛み。何と言ったらいいのか。前回よりは痛くなくなったが、それでも気は抜けない。背中は汗を大量にかいている。てかそこ痛いんですけど…!なぜ私はこんな思いをしてまで脱毛しているのか。原点に帰ってみる。

 

  小学六年生の時、幼馴染のYの家族と私で箱根にあるユネッサンに遊びにきていた。確か春休みだったと思う。心地よい過ごしやすい温度の中、車でユネッサンへ向かっていた。「もうすぐ中学校に上がるけれど、変わらずこうやって仲良くしていこうね。」そう言いながらユネッサンへ。わからない人のために説明すると、水着を着て館内を歩く。温泉もプールもあったような気がする。確か。あとは調べてください。一日中遊びまわって男女に分かれてお風呂へ。確か私の方が身長は高かったのだ。そう、私のほうが少し大人なような気がしていた。勝手に。

 

裸を見られるのに恥じらいがなかった私。ふと着替え途中、隣をみるとYには大人の変化が現れていた。そう、生えていたのだ。わたし?わたしはそのときツルツル。もしかしたら前世でわたしは脱毛していたのだろうか?いやいやそんなわけない。でもYはしっかり生えている。なのに私には一本も生えていない。胸もよくみるとYでかいな!今となってはEカップどやぁな私だが、当時はAAカップ。高校に上がるまで友達と貧乳同盟を組んでいたくらいだ。バスケをやっていて痩せていたからかどうかはわからないけど細かった。胸もないのもまあしょうがないな、くらいだった。もちろん小学六年生のわたしはつるぺったんだった。

Yには恥部には柔らかさうな陰毛がみずみずしく生い茂っていた。

こんなことを書いてしまい本当にYには申し訳ないと思っている。あとでこっそりポストにわたしの脇毛を入れておこう。

なぜYには生えているのにわたしには生えていない?まだ生理もきていなかった。もしかして私は、ちゃんとした女ではない?子供を産めない?宗教的な理由で、両親は私に性別を偽っているのか?そんな感じのマンガを読んだことがあるぞ…!早く……はやく私にも生えてくれ

 

→10年後の私は歯を食いしばりながらVIO脱毛しておるぞ〜(*゚▽゚*)たのぴ〜